甘い毒に溺れ堕ちて
指先で耳の縁をなぞられて、肩をすくませた。

大声を出せない代わりにムッと口を尖らせる。



「どうもしません。というか可愛くないから」

「可愛いよ」

「可愛くないってば」

「素直じゃないなぁ」



睨みつけて反抗するも、効果はゼロ。
全く怯んでないどころか、「怒った顔も可愛いね」と、なぜだか嬉しそうに笑っている。


付き合ったことないくせに。一人っ子のくせに。

なんでそんなに余裕綽々なの? なんで笑っていられるの?


あと10センチ近かったら、キ……く、口が当たってたかもしれないっていうのに……っ。


眉根を寄せてガンを飛ばしていると、やれやれと言わんばかりに藍くんは溜め息をついて……。



「……無自覚も困ったものだな。ずるいね真彩ちゃんは」

「無自覚でもずるくもありません」

「もう小悪魔通り越して魔性の女の子だよ。将来が恐ろしいな」

「……勉強するから邪魔しないで」
< 248 / 249 >

この作品をシェア

pagetop