甘い毒に溺れ堕ちて
だから考えたの。

これは将来の可能性を広げるためだって。

私に必要なものと出会わせるための寄り道なんだって、前向きに考えた。


遠い先の輝かしい未来だけを信じて。

ひたすらに、着実に経験を積み重ねてきた。


なのに。それなのに……っ。



「なんで……っ」

「あぁもう、うるっさいわね!」



掴んでいた手を乱暴に振り払われた。



「別に諦めろなんて言ってないでしょ!? 大学なんて大人になってからでも行けるじゃない!」

「っ……」

「どうしても行きたいなら、自分でお金を貯めるか奨学金を借りなさい」



冷たく鋭利な眼差し。

腹を痛めて産んだ我が子に対してここまで残忍になれるのかと、もはや涙すらも出なかった。



「ったく、ただでさえ受験の準備で忙しいってのに……」

「受験、って……」

「晴日と晴月のに決まってるでしょ」



吐き捨てるように言い切り、そっぽを向いた母。

露骨な贔屓に胸を痛めると同時に、顔が青ざめていく。



「それ……本人に話したの?」

「したわよ。あなたと違ってすんなり聞いてくれたわ」

「そうじゃなくて……!」
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