甘い毒に溺れ堕ちて
「……」

「おかあさんがやってることは、けーざいてきでぃーぶいっていうんだよ! れっきとしたはんざいなんだよ!」

「はるっ!」



便乗してきた晴日を、風斗がテーブルを叩いて制止する。

威圧感のある眼差しに一瞬怯んだ様子を見せるも、負けじとぎゅっと唇を噛みしめ……。



「おにいちゃんも、おねえちゃんにあやまって」

「は?」

「おねえちゃんのうさぎさんをこわしたこと、あやまって!」



金切り声で言い放った彼の目から、堰を切ったように涙が溢れ出した。

明るみになった衝撃の事実にまたもや目を見開く。



「うさぎを、壊す……? 一体どういうことだ?」

「おねえちゃんがおふろにはいってるときに、ちょきんばこを……」

「おい、黙ってろって言っただろ……!」

「おれのおねしょなんかよりも、ドロボーのほうがもっとダメなんだよっっ!」



叫びながら言い返した晴日が風斗に掴みかかった。

晴月はその場に立ったまま号泣。
父は青ざめた顔で絶句していて。

母は決まりが悪そうにうつむいて黙り込むのみ。


家族団らんの時間を過ごすはずだったリビングは、感情を露わにする2人の甲高い声だけがけたたましく響いていた。
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