甘い毒に溺れ堕ちて
どうしてこうなってしまったのだろう。
一体どこで道を間違えてしまったのだろう。


荒んだ空気の中、脳内をよぎるのは、この状況を引き起こした原因が私にあるということ。

事実を偽っていた母親にも非はあれど、引き金を引いたのは紛れもなく私で──。



「……んだよ、みんなして姉ちゃんばっかり……」



地を這うような声にハッと我に返った。

悲しみと憎しみで埋め尽くされた瞳が、身の毛がよだつほど殺気立っている。



「おねえちゃんにあやまれぇぇっっ!」

「離れろっ! クソガキっ!」

「はるっっ!」



衝動的に振り下ろされた拳が右側の額に直撃した。



「「おねえちゃん……!」」

「真彩っ! 大丈夫か!?」

「っ……」



朦朧とする意識の中、晴日を抱きしめたままカーペットに倒れ込む。


あぁ……私ってば、また助けられちゃってる。


ごめんね。情けないお姉ちゃんで。

いくら秀才でおとなびてるからって、まだ生まれて6年しか経っていないのに。


こんな、生き地獄を見せちゃって、ごめんね。



「「おねえちゃんっ! おねえちゃんっ!!」」

「真彩っ! 聞こえるか!? 真彩っ!」



私を呼ぶ声が、だんだん遠く、小さくなっていく。

抱きしめていた腕から力が抜けた途端、視界が真っ暗になり、意識を手放した。
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