甘い毒に溺れ堕ちて
解放のち憂鬱
──ピンポーン。


土曜日の朝9時。

黒のジャージに身を包んだ私は、来栖家のインターホンを押した。



「はーい」

「おはようございます。占部です」

「あら真彩ちゃん! おはよう!」



カメラに向かって名乗ると、彼女の母親がワントーン上がった声で対応してくれた。

しばらくするとパタパタと慌ただしい足音が聞こえて、ドアの磨りガラス部分に人影が現れる。



「まあちゃん、おはようっ」



私とお揃いのジャージを着た茉耶が出てきた。



「おはよう。準備は、大丈夫?」

「うんっ。お茶もあるし、スマホもあるし」



ボディバッグを開け、タンブラーとスマホを見せつける茉耶。

忘れ物がないと確認できたところで彼女のご両親に再度挨拶をし、来栖家を出発する。



「今日も晴れてるね〜。日焼け止め塗ってくれば良かったかなぁ」

「私、持ってきてるよ。使う?」

「いいの? ありがとう〜」
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