甘い毒に溺れ堕ちて
ふああぁ〜とあくびをする彼を固唾を呑んで見つめ、次の言葉を待つ。



「今朝、来栖さんの髪結んでたじゃん?」

「ああ、フィッシュボーンのこと?」

「うん。それ、俺にもやってほしいな」



張りつめていた緊張が抜けて、ホッ……と小さく安堵の溜め息をついた。



「いいよ。どういうふうにしてほしい?」

「部分的にエクステ付けてる感じで、左右に1個ずつ。時間なかったら1個で大丈夫」

「わかった」



シリコン製のヘアゴムを受け取って、彼を長椅子に座らせた。

向かい合わせになり、耳上の髪を一束すくって半分に分け、編んでいく。



「真彩ちゃんがあんな可愛い髪型知ってたとはねー」

「そんなに意外?」

「だっていつもひっつめ髪だし。興味がないか、レパートリー知らないのかなーって思ってたから」
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