甘い毒に溺れ堕ちて
「目新しい情報が入ったら、真彩ちゃんにいち早く教えるよ。ファッションとか美容とか」

「ありがとう。すっごく助かる」

「他にも、学校じゃ教えてくれないような──ちょっぴりオトナな情報も」



ピタリと手が止まった。
視線を下げると、妖しげに微笑む顔と目が合う。


眩しい髪色とは対照的な、黒い瞳。

茉耶ほど丸みを帯びていなければ、夏目くんよりも目力は弱いほう。眼球の大きさも、私とそんなに変わらない。


なのに、どうして目を逸らせないの──。



「ふはっ。なに真に受けてんの」

「っ、え」

「冗談に決まってるじゃん。面白いなぁ、真彩ちゃんは」

「はぁ!? からかわないでよ……っ!」



手が離せない代わりに足を踏んづけた。

「いたいよー。えーん」ってわざとらしい泣き真似が聞こえてくるけど、無視無視。いちいち構ってたら終わらない。



「ほらっ、結ぶから頭動かさないで」

「え、もう1個終わったの?」

「藍くんがからかってくる前に既に編み終わってました。反対側もやるからじっとしてて」



頭を挟んで固定させ、もう片方も編んでいく。


人が真面目に作業しているっていうのに……。

アイドルの皮をかぶった王様? ううん、不意打ちが趣味の大魔王様だ。


それからも時々イタズラ発言が飛んできたけれど、はいはいと受け流し、昼休みが終わる5分前に編み終えた。
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