甘い毒に溺れ堕ちて
「なんでこっち見ないの?」

「……今日は、ちょっと肌が荒れてるから」

「そう? 昨日とそんな変わんないけど」



……なんてお願いしたところで、「真彩ちゃんってば面白ーい」ってからかわれるのがオチだろうな。

仮に聞き入れてくれたとしても、「どこからが良くてどこからがダメなの」って拗ねそう。


……面倒くさいな。

でも、機嫌を損ねられるほうが厄介だから。


ここは1つ大人になって、冷静に毅然と対応する。



「藍くんは、さ」

「んー?」

「私とこういうことして大丈夫なの?」



気まずさを紛らわそうと質問を投げかけた。

また呑気にあくびして……と口角が引きつりそうになるのをグッと堪えて、彼と目を合わせる。



「2人で過ごすってこと?」

「うん。彼女いたら申し訳ないなって……」

「あぁ大丈夫大丈夫。いないから。できたこともないし」



良かった。フリーで。

危うく修羅場に巻き込まれるところだった。あと彼を心底軽蔑するところだった。
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