その海は、どこまでも碧かった。

暗闇の中

しばらく彼女が鼻を啜る音がした



寝れないよね…



「ねぇ…三咲さん…
寝た?」



「寝てない…寝れない…」



「ごめんね
オレが泊まったから…」



「風美くん
私の名前、知ってたんだね
さっき呼んでくれて、嬉しかった」



「うん…」



確か三咲のアパートで…って言ってた

それで知ったぐらいだけど



「ごめんね、風美くんも眠れなくて…」



「三咲さんは、謝らないで…
ここ、三咲さんの部屋だし…

三咲さんのベッドだし…

オレが帰ればよかった話だから」



終電がなくたって

タクシーで帰るとか

カラオケとか漫喫で寝るとか

いろいろ方法はあった



オレは海が好きなのに

なんで女の子の部屋に泊まったんだろう



しかも同じベッドにいる

オレが誘った



今まで合コンも参加したことなかったのは

海がいながら…って思ってたから



海はもぉいないから



オレの元にいないから

だからたぶん合コンにも参加したし

帰らなかったのかもしれない



オレも寂しかったのかな?

三咲さんと同じ

弱くて、嫌になる


< 28 / 142 >

この作品をシェア

pagetop