その海は、どこまでも碧かった。
「海、誕生日おめでとう!
やー、ビールうまいな…
この高級ビール
今日のためにずっと取っておいてたんだ」
「パパはビール飲みたいだけでしょ!
あ、碧くんがパパと海行きたいって…」
「最近、海がついて来ないから
碧くんも来なくなって
残念に思ってたんだ
嬉しいな…」
「じゃあ、私も日焼け止め塗って行く!」
「女の子は年頃になるとコレだから…」
「女の子でごめんね!
パパは息子がよかった?」
「いや、海が女の子で嬉しかったよ
その代わり碧くんが息子みたいで
頼もしかった」
「海、兄弟作ってあげれなくて、ごめんね
でもママとパパの元に産まれてきてくれて
ママもパパもホントに幸せ
海、ありがとう」
「私も碧くんがいたから
寂しくなかったよ
ママ、産んでくれてありがとう」
17年間
ずっと碧くんが
近くにいてくれた
寂しくなかったよ
兄弟がいたら
碧くんを独り占めできなかったかも…
「ケーキおいしいね!」
「碧くん、海のために頑張ったね」
碧くんプレゼントくれたことなかったのに…
遠くなった気がした碧くんが
私のために頑張ってくれた
碧くんは
私の近くにいてくれようとしてる