その海は、どこまでも碧かった。

また宙と手を繋いで歩いた



カップルとすれ違うたび

私達もちゃんと付き合ってるんだねって

なんか安心した



普通のカップルだよね



「ユナ達いないね…」



「うん…」



「もぉ帰ったのかな?」



「うん…」



「あ!写真撮ろう!
宙と一緒の写真
まだ撮ったことないよね?」



「うん…」



「宙、こっち見て…

撮るよ…」



ふたりで並んでスマホをかざした



カシャ…



「あ、私、目瞑ったー
もぉ1枚ね!」



カシャ…



「宙…?」



宙が私に重なって写ってた



「これじゃ、顔見えないね
夜景は綺麗に写ってるのにな…
ごめんね、下手で…
もぉ1枚…」



「それも、あおくんに送ってよ」



「え…でも、コレ顔見えないし…」



「キスしてるみたいじゃない?」



「あ、うん…ホントだ…」



「そんなの送れないか…
あおくん、心配するかもね」



宙どぉしたの?

なんでそんなこと言うの?



「宙、怒ってる?」



「怒ってない
ごめん、気にしないで…」



「コレって、ケンカ?
付き合ってたらケンカもするよね!」



「ごめん…
ケンカでもない

オレの勝手な嫉妬だから
気にしないで…」



宙が

手を繋いでくれなかったから

私から繋いだ



「宙…」



「…」



聞こえなかったかな?



ずっと無言で歩いて

ホテルに着いた





キスできないから機嫌悪いのかな?


< 70 / 142 >

この作品をシェア

pagetop