ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
日本に向かう飛行機が飛び立つ。

僕は、座席にもたれかかって目を閉じた。

琴羽ちゃんは、ずっと僕の憧れだった。
その背を追いかけて、一緒に笑って。子供だった僕は、琴羽ちゃんに会えるだけで幸せだった。

琴羽ちゃんが十八歳、僕が八歳のあの日まで。

琴羽ちゃんのお母さんが急逝したあの日から、琴羽ちゃんは笑わなくなった。
ずっと夢だった医師への道も、琴羽ちゃんは自分から断った。

そんな痛々しい琴羽ちゃんに対して僕はただ待つしかしなかった。今思えば、たかが八歳の『花音の幼馴染』に過ぎない僕に、琴羽ちゃんが救いを求めるはずもないのに、僕を求めてくれることを待っていた。
そして待っている間に琴羽ちゃんは一人で立ち上がって、自分で道を切り開いて歩いて行ってしまった。『一条』の為に、花音を支えて生きる道を選んでいった。



やっぱり声を聞いたりすれば、切ない。物心ついてからずっと抱いていた淡い恋心は、やっぱり僕の根底に残っている。完全に消えはしない。

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