ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
私、孝弘さんのこと、全然知らなかった。

幼馴染は同い年と言っていた。事務部長は、二十七歳。つまり、孝弘さんも二十七歳ということか。

ーー私より三つも歳下。

彼が時折見せた幼さ。それは、まさに歳下だからだ。そんなことさえ知らなかった。

私は、ショックに苛まれながらマンションのエレベーターに乗る。借りた部屋の階に降りて、廊下を歩く。


ーーあれ?


廊下に面した小さな窓から灯りが漏れている。
この部屋、私が借りた部屋だよね?私、電気つけっぱなしだったのかな?それとも、もしかして、泥棒…?

玄関ドアの鍵穴に鍵を差し込んだものの、泥棒だったらどうしようなんて考えてしまって、鍵が回せない。

すると。

ドアがガチャリと、内側から開いた。

「おかえり、マナ。お疲れ様」

そこに、満面の笑みで立っていたのは、孝弘さんだった。
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