運命の推し
「……素敵だよね」

日向は照れている私に気づく様子もなく、でもにっこり笑って同意してくれた。


「じゃあさ、この間観たビデオ録画、もう1度観る?」

私はビデオリモコンを操作する日向に、
「嬉しい」
と頷いた。


またあの子が観られる。

優大。

素敵な目をした子。



「優大って何歳なのかしら」
日向に質問してみると、
「26歳だよ」
と、即答した。


「優大の誕生日までは覚えてないけど、調べておくね」

日向はビデオを再生した。

それから思い出したように、
「でも確か夏の終わり頃の日付だった気がするから、今年の優大の誕生日、笑子ばあちゃんも祝えるね」
と、笑った。


祝う?

テレビの中の人の誕生日を?



……どうやって?




頭の中で浮かんだ疑問を日向に話す前に、テレビ画面に「シー・ファンキーズ」がうつった。


「『シー・ファンキーズ』はみんなイケメンだよ。5人組で、みんな個性がバラバラで、でも仲良しなのが伝わってきて」

日向の言葉に熱がこもる。


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