運命の推し
確か、このお手紙の印のボタンよね。
少し怪しい手つきで、携帯電話を操作する。
『笑子ばあちゃんは、優大にファンレターを書くことにしました』
作成した文章を読み返して、日向に送信する。
……あっ。
今、何時だったかしら。
時計を見ると、夜中の1時を過ぎていた。
身内にとはいえ、迷惑な時間にメールを送ってしまったわ。
そう思うと、今度はオロオロしてしまう。
しばらくすると、私の携帯電話が振動した。
メールを開ける。
日向からだ。
『きっと優大は読んでくれると思う!頑張れ!!』
励ましの言葉と共に、日向は「シー・ファンキーズ」の所属事務所の住所をメールで教えてくれた。
「ここに送ればいいのね」
なんだかわくわくしてきたわ。
何をどう書こうかしら。
私の優大への想い。
届くかしら。
ほんのひとときでもいい。
私のことを、想いを、知ってほしい。