逃げて、恋して、捕まえた
「ずっと、芽衣のこと気が付かないふりしてたからな」

ああ、そうだった。

「やっぱりわざと無視していたんだよね?」
「ああ。メールしても電話しても一切返事をよこさないから、放置プレーに出てみた」

放置プレーって言い方が、卑猥だな。
まあ、結構効果はあったけれど。

「それにしても加田蓮斗って、最悪だな」
「うん・・・ごめん」
「何で芽衣が謝るんだよ」
「だって、蓮斗のせいで奏多が困っているって」
すべて私のせいなのに。

「大丈夫だ。こんなことで潰されるほどやわじゃない」
「でも、ごめん」
「もう謝るな。芽衣は悪くない」
「でも・・・」

私がいなかったらこんなことにはならなかった。
そう思うと、苦しい。
< 96 / 192 >

この作品をシェア

pagetop