触れないで、杏里先輩!
高校生にもなってプラネタリウムなんて行って小学生の遠足ですか、なんて思っていたが、校外学習の意味が分かった。
これは周りに迷惑を掛けずに行動することを再認識するためのものだって。

思春期を通過しようとしている人間の行動って、冷静な目で見るとバカだなって思うことが多々ある。

例えば目の前で大きな声で周りにお構い無しにお喋りしている女子とか、何度担任から注意を受けても堂々と道路の真ん中を好き勝手に歩いている私に触れようとしてきた男子とか。

……アイツ、小学生か。

同じ学校の生徒と思われたくない。
そう思った私は前方に見えるバカな男子を空気扱いして歩いていた。


「庄司、担任の話聞いてなかったのか?周りに迷惑掛けんな。俺達もハズい」


そこに響いた低い声。
誰も何も言わない中、堂々と道路の真ん中を歩いていた男の子を注意したのは北川君だ。
その会話であの男子が庄司君という名前だとうことに気付いた私。
先日、庄司君は北川君には勝てないと悟ったようで、先程までの彼が嘘のように大人しくなった。
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