触れないで、杏里先輩!
毎年憂鬱になる季節。
だが今は、そんなことはどうでも良いと思える程の事態が起きている。

杏里先輩の昨日のあの行動だ。

あれは一体何だったの?

あの後、杏里先輩は「長居したら電車が混むから」と、残りのフラペチーノを急かすように私に飲ませた。
私は動揺しすぎて、ドキドキの意味も聞けず、必死に流し込んだ。

チラッと私は杏里先輩を盗み見る。

「さぁ行こうか」

杏里先輩は微笑みながら言うと前を向き、学校へ向かって歩き出した。


……至って普通。
私は目を合わすことも出来なかったのに。

今は北川君が居るし、彼と別れた後に何か言われるかな。


「「「……」」」


先程会話したはずの二人が今日も静かになった。
昨日と同じように、私達は無言で学校を目指して歩く。

杏里先輩と北川君は相性が相当悪い。
それなら杏里先輩は教室に来てくれれば良いのに。

だってこの沈黙、結構辛い。
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