触れないで、杏里先輩!
十分後、学校の門を通るとホッとした。


「杏里先輩、明日から朝は教室で待っていてもらえませんか?」

部活に向かう北川君と別れた直後、昇降口前で日傘を閉じると沈黙が辛すぎた私は杏里先輩に早速お願いした。


「どうして?」

何故かピリッとした空気で不機嫌そうな顔を向けられた。


「いや、あの、沈黙が辛いと言うか、杏里先輩と二人きりなら良いんですけど、北川君が居ると杏里先輩、喋ってくれないから……」

その空気が怖く感じて、私は目を彷徨わせ、戸惑いながらも口に出した。


「ごめん」

唐突に杏里先輩が謝った。
私は突然のことに、え?とポカンとなる。


「これからは北川君と仲良く出来るよう努める」

そして申し訳なさそうな顔を向けられた。

そんな無理に合わせる必要は無い。
だって苦手な人が居るのは仕方ないもの。
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