触れないで、杏里先輩!
すると此方に近付いてくる杏里先輩の顔。

杏里先輩が何をしようとしているのか分からず、ドキドキしすぎた私は固まると数秒後、コツンとお互いの額がくっついた。


「ありがと、嬉しい……」

今までにない距離感にドキドキしすぎて胸が破裂しそうだ。


「もっと美桜に触れて良い?」

いつも強引なのに、今日は遠慮がちな口調に私の頬が緩んだ。

「私、既に杏里先輩に触ってますよ」

「だって俺から触って気絶されたらへこむ」

朝までは杏里先輩に触れられないことに絶望していた。
今はもっと杏里先輩に触れて欲しくて仕方ない。

「触って下さい」

お願いすると、杏里先輩は空いている手で恐る恐る私の頬に触れた。

その手つきは壊れ物を触るみたいに優しい。


「触れた……良かった」

嬉しそうな声にふふっと笑みが溢れた。

「頬、熱いよ」

「杏里先輩が触れてるから……」

「キスは無理だよね?」

キスぅ!?

聞き慣れない単語に顔から湯気が出そうなくらい更に熱くなる。
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