触れないで、杏里先輩!
『それに恋は自分でどうにかするものだから。ね?』

その時、先日の花純先輩の言葉が頭を過った。


その通りだ。

自分が動かないといけない。

今こそ治療の効果を見せる時。

私は深呼吸をすると、思い切って杏里先輩の膝の上にあった右手を両手で掴んだ。

自分から触れられたことに感動すると、驚いた先輩は弾かれたように私に顔を向けた。


「美桜……?」

不思議そうな顔をしている杏里先輩に向かって私は叫ぶ。


「わ、私も最後になんてしたくない!」

杏里先輩の気持ちが分かっても、この気持ちを伝えるのは緊張する。
そのせいか、鼓動は鼓膜まで響いているし、唇はぷるぷる震えている。


「私は杏里先輩が好きです!」

そんな状態に耐えながら必死に想いを伝えると、伝えられたことに嬉しくなったのか、涙が溢れ出てきた。

私の気持ちが伝わったようで気が抜けたのか、杏里先輩の肩はすぅーと力が抜けていったように見えた。


「美桜……」

目尻を優しく下げて、名前を呼ばれるだけでも胸が高鳴る。
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