愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
「なぁ星光、君が貯めた貯金から見たら俺が口座に入金している金は微々たるものだと思うが、あれは君の金だから」

「――でも」

 嫌いな妻に使われるのは嫌でしょうに。

「頼む。受け取ってくれ。そうじゃないと、俺も辛い」

 辛い?

「では、はいわかりました。受け取ります」

 綾星さんはホッとしたように目尻を下げる。

「しかし、君って本当になんでもできるんだなぁ」

 ええ。かわいげがないんです。私。

 守ってあげたいとか思わせるかわいらしい女性ではないんですよ。それはご存じでしょうけれど。

 以前はそんな自分が嫌でもあったけれど、この結婚で私は学んだ。

 これが私なのだから、もう無理はしない。
 かわいげのない私を好きだと言ってくれる人もどこかにいるかもしれないし。

「食後のコーヒーいれましょうか。ノンカフェインのコーヒーも買ったので」

「サンキュー。でもできればカフェイン入りがいいかな。まだちょっと仕事をしたいから」

「あら、そうなんですか。大変ですね」

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