愛しているので離婚してください～御曹司は政略妻への情欲を鎮められない～

　その点、綾星さんは私に無関心だし、泊まりの出張も多く、私は誰にも気兼ねせず自由に行動できた。

　最初はメジャーな観光地巡りから始め、その土地に息づく歴史を感じ、地元の食を楽しみ沢山歩く。
　旅を満喫すれば、つまらない結婚生活などどうでもよくなる。

　両親にも誰にも言っていないけれど、私のぼっち旅インスタグラムは、女性たちの間で密かな人気だ。
　暇に任せて写真の撮り方の研究もしているおかげか、旅行サイトからダイレクトメッセージも来たりする。

　雑誌に載せたいという話もあった。
　顔出しの写真も載せたいと言われてあの時は断ってしまったけれど、離婚したらもう関係ない。
　次に話があれば挑戦してみようかな、と思っている。

　だから、強がりではなく本当に楽しい。

　母はそんな私に戸惑いながら、それでも最後には、離婚したら母のお店を手伝うという私の提案に頷いてくれた。