一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
雪乃の元に行くのは仕事もあって週末にしようと思っていたのだが、部長命令とあればすぐに行ける。
「結婚式には招待してね、沖田課長」
ポンと俺の背中を叩いて穏やかに微笑む部長。
「ありがとうございます。結婚式の披露宴では是非スピーチお願いします」
心から礼を言うと、部長はにんまりした。
「それは楽しみだなあ。社長もね、君が結婚して孫が抱けるのを心待ちにしているよ」
部長の発言を聞いてギョッとする。
俺のいないところでなにを話しているのか。
「いろいろ僕の話で盛り上がってるみたいですね。大人しく待っていればいいものを」
ハーッと溜め息交じりに言うが、孫に関しては父の望みがそう遠くない未来に叶うかもしれない。
これはあくまでも俺の勘だが、雪乃は俺の子を妊娠しているかもしれない。
最近の彼女の体調を見ていてそう思った。
気のせいかとも思ったが渡辺も『山本さんさあ、姉ちゃんが悪阻酷かった頃と似てるんだよね。たまに辛そうに俯いたり、頬もコケてきちゃって。お前、身に覚えあるだろ?』と俺に確認してきて、『否定はできない』と答えた。
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