一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「ああ。だから離す気は全くないよ」
「その顔……なにか企んでるんだろうけど、ここにいていいわけ?」
どこか不安そうに俺を見る渡辺。
雪乃のが福井に行っても落ち着き払っている俺に戸惑っているようだ。
「午後になったら福井に向かう。竹下常務に仕事を頼まれているんだ」
そう返して雪乃を追うと仄めかせば、彼は顎に手を当てながら相槌を打った。
「そう言えば、昨日焼肉屋で竹下常務となんかコソコソ話してたよな」
「後のこと頼む」
竹下常務には感謝している。
俺が堂々と雪乃を追えるようにしてくれたのだから。
「了解。要するに仕事のついでに山本さんを連れ戻しに行くわけだ。ついでなのは仕事の方かもしれないけど」
安心してクスッと笑う渡辺にフッと笑った。
「そこはあまり追及するなよ」
「絶対に連れ戻せよ」
俺の肩を叩き真剣な目で告げる彼に約束する。
「どんな手段を使っても連れ戻す」
その後、お昼に会社を出て新幹線と特急を乗り継いで福井に向かった。


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