一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
14、彼と幸せになる
「さあ、雪乃のお父さんに挨拶しに行こう」
怜の言葉にコクッと頷く。
涙が溢れ出てもう声にならなかった。
だって彼が助けに来てくれるなんて思ってもみなかったから。
東京にいるはずの彼が助けに来るわけがない。
それでも頭の中で助けを求めたのは怜だった。
松本に首を締められてこのまま死んでしまうのではないかって……。
怜が助けに来てくれて驚いたけど、やっぱり嬉しかった。
ずっと結納のことも赤ちゃんのことも内緒にしていたのに、彼は私を責めない。
それに怜に出張を命じた竹下部長……ううん、竹下常務にも感謝している。
私のことを心配して怜に福井行きを命じたのだろう。
「もう辛いことは思ったんだ。今後なにがあっても俺がいるし大丈夫だ」
指で私の涙を拭う彼が珍しく困惑した顔をする。
「参ったな。ハンカチ、松本に使ったんだ。俺のシャツで涙拭く?」
その言葉に思わず噴き出してしまった。
「……いい。今ので涙止まった」
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