一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
そんなやり取りを怜としていたら、美久さんが息咳き切って現れた。
「雪乃ちゃーん、大丈夫〜!」
こちらにやってくる彼女を見て怜が「あれは誰」と私に尋ねる。
「お兄ちゃんのお嫁さん」
口早に答えて美久さんに目を向ける。
「警察の人がロビーにいて松本さんが連行されていったから心配で」
血相を変えてそんな話をする彼女に苦笑いしながら返した。
「ちょっと首を締められて危なかったんですけど、彼が助けてくれたので大丈夫です」
彼女に説明しながら怜をチラッと見ると、彼がにこやかに挨拶した。
「初めまして。沖田怜です」
「ひょっとしてして……彼が雪乃ちゃんの大事な人?」
私に確認する美久さんの目を見て頷く。
「はい」
「素敵な人ね。雪乃ちゃんを迎えに来てくれたのね。よかった」
感極まったのか涙を流す彼女をそっと抱きしめた。
「ありがとう、美久さん」
「美久、親父は?」
近くにいた兄が問うと、美久さんは涙を拭いながら答えた。
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