一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
そんな返しをしたら、ふたりはポッと頬を赤くした。
実は、三月の終わりくらいからふたりは付き合いだしたらしい。
沖田大明神のご利益かも。
「もう雪乃先輩、からかわないでくださいよ。そろそろ時間だから席に行って待ってますね」
腕時計を見て告げる彼女にコクッと頷く。
「うん」
亜希ちゃんと渡辺くんが控室を出て行くと、コンコンとノックの音がしてお兄ちゃんと美久さんが入って来た。
「雪乃ちゃん、これから始まるって」
「父さんも準備できたから」
ふたりに声をかけられて笑顔で返事をする。
「はい」
当初、この式に父は出席しないはずだったのだけど、怜が何度も福井に通って説得し、父もついに折れた。
礼拝堂のドアの前には父がいて、じっと正面を見据えている。
その表情は険しい。
いや、そもそもにこやかな父を見たことがないから、これが普通の状態か、緊張で顔が強張っているかもしれない。
兄夫婦も礼拝堂の中に入ってしまい、入場までの時間父となにを話していいのか迷った。
< 241 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop