一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
雪乃は身体的にもそうだが精神的にも弱っているのではないだろうか。
今朝は彼女は俺から逃げなかった。
いや、正解には逃げられなかったと言うべきか。
もし、雪乃の服が手元にあって、俺がシャワーを浴びていたらまた逃げられていたかもしれない。
俺が『雪乃が好きだから抱いた』と告げると、彼女は悲しそうな顔をした。
『私……恋愛とか……考えられない。ごめん』
返事を聞いても全く驚かなかった。
雪乃が俺を避けていたからなんとなくその展開を予想できた。
だが、彼女の気持ちが俺にないわけではない。
俺を見つめるその目は俺が好きだって伝えてくるし、俺のキスに最初は躊躇ってもちゃんと応える。
雪乃の言葉と行動は一致していない。
最近彼女の様子がおかしいのと、ムキになって俺を嫌いだと言うのは同じ理由のような気がする。
俺の勘繰りすぎか?
なにかが雪乃を苦しめているように見える。
彼女との信頼を深めていけば、いずれ俺にも話してくれるかと思ったが、考えが甘かったかも。
今の彼女はガラス細工のようにもろい。
ちょっと刺激を与えただけで壊れる。

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