昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

抱きしめる腕までもふるわせながら、にじんだ声で「ありがとう」と言う雨夜くん。

雨夜くんの胸の中にすっぽりおさまるかたちになりながら、わたしもぼろぼろと涙をこぼす。


「……雨夜、くん」


……ねえ、雨夜くん。あのね。


生きていく中で、わたしたちは、信じられない目にあうことがあるね。

悪意に見舞われることがあるね。きっとこれからも……多かれ少なかれ、あるんだろうね。


ひどい目にあわせた相手なんて、許さなくていい。憎んでいい。

離れて、逃げていい。それは、当たり前のこと。


でも憎み続けることで自分を嫌いになるなら。自分を削ってしまうなら。

許すことも……わたしたちができる選択肢のひとつなんだよね。


それがわかったから、わたしたちはきっと大丈夫。


雨夜くん、歩いていこう。

前を向いて、ときには後ろを向いて。でもまた顔を上げて。


朝も昼も夜も、そのすべての境目も。笑い合って、向き合って生きていこう。


「……すき」


大粒の涙をこぼしていたら、純粋な気持ちも一緒に、言葉となってこぼれた。


「雨夜くんが、好き。完璧じゃなくていいよ。わたし……そのままの雨夜くんが、大好きだよ」
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