昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
「……後悔せずに済んだのは、永田さんのおかげだ」
雨夜くんの声が、耳から入って、わたしの心を優しい温度でしめらせる。
「……まだ少し、聞いてくれる?」
「うん……っ」
「言い訳、みたいになるけど……」
少し幼い雨夜くんの声。
その声を、心から愛おしいと思う。
「前に……永田さんに、言ったこと。永田さんいると、劣等感をぬぐえて安心できる……とか」
「……うん」
「そんな最低な、利用するような気持ちがあったことは……否定できなくて……」
雨夜くんの言葉が途切れるたびに、うん、とうなずく。
そうしたら雨夜くんは、息を吸って、続きを口にしてくれる。
「でも……その気持ちが、いつの間にか消えて。いつの間にか……永田さんという人を大切に思うようになってたのも……本当なんだ……っ」
ふるえる息が伝わってきて、抱きしめる力を強くする。
雨夜くんの手が、わたしの背中に回る。
「永田さんと一緒にいるうちに……一生懸命頑張って変わろうとする永田さんに……どんどん、惹かれていった。永田さんの純粋な優しさに、心が、洗われて。俺は……」
「……っ」
「俺は……救われてたんだ。図書室で笑顔で迎えてくれる永田さんに。永田さんの存在そのものに……ずっと……っ」