昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う

いつも質問を振ってくれるのは雨夜くんのほうだけど、わたしももっと、雨夜くんについて知りたくて。

だからさっき、本を選んでいるときに浮かんでいた質問を、思いきって口にした。


「土日……」


つぶやくようにそう言って、ほんの一瞬だけ固まった雨夜くん。

けれどすぐに笑顔に戻って、答えてくれた。


「……そうだね、土日は交通整理とかのバイトしてることが多いかな。今日みたいに、休みのときもあるけど」

「……!」


その回答に、思わず目を丸くする。

土日も働いているんだ。平日だけでも大変なのに、なんて多忙なんだろう。


驚いて、そうしたら新たに聞きたいことが頭に浮かんでくる。

雨夜くんは、どうして働かなければいけないんだろう。


どうして全日制じゃなくて、夜間に通っているのか。この疑問は、今はじめて抱いたものじゃない。

交換日記をしていたときから、ずっと持っていたものだ。


でも、尋ねるには至らなかった。そういうことは、こちらから聞き出していいものじゃない気がして。

その質問をするにはきっと、わたしたちの関係はまだ浅すぎる。


「……すごい、ね」


だから代わりに、心の中にある別の気持ちを口にした。


「わ、わたし……学校に行くだけで、精一杯だから。雨夜くんはさらにお仕事も頑張ってて……本当に、すごいというか……!」


これも、交換日記をしていた当初からずっと思っていたこと。
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