昼と夜の間で、僕らは手をつなぎ合う
わたしにはできないことを、毎日当たり前のようにこなしている雨夜くん。
それでいて、こんなに心に余裕を持てる雨夜くん。
雨夜くんに対して抱いている気持ちは、感謝が一番大きいけれど、それと同じくらい尊敬の気持ちがある。
わたしの言葉を聞いた雨夜くんは、目を見開いて。
「……永田さんもすごいよ」
ふ、とまつげを下げて、そう言った。
「対面での会話が苦手なのに……その苦手なことに、毎日取り組んで。自分を変えようとして。それって、だれにでもできることじゃない」
「……っ」
その言葉に、あたたまるの範疇を超えて、胸がぐんと熱くなる。
頑張りたいって思わせてくれているのは、雨夜くんだ。
こうやって雨夜くんが認めて、受け止めてくれるから。だからわたしは、うつむくことばかりを考えずにいられる。
Tシャツの裾をもう一度、ぎゅっと握る。胸に生まれた言葉は、ちゃんと雨夜くんの目を見て言いたいと思った。
雨夜くんの方に、体を向ける。雨夜くんも、わたしの方に向き直る。
長椅子の端と端で、目が合う。そして……。
「あ……ありがとう……!」
目をそらさずに、できるだけはっきり言葉を発した。
顔を隠したくなるのをこらえて見つめ合ったままでいたら、雨夜くんのほおが、優しくほどける。