エリート外交官と至極の契約結婚【極上悪魔なスパダリシリーズ】
 そのふたりの間にいる月城さんを認めて、私は目を見張った。

「お父さんっ、月城さんが!」

「そりゃそうだ。彼はこの来訪のための準備と通訳として来たんだからな」

「彼はアラビア語ができたの……?」

「ああ。中学の頃まで父親の仕事の関係でアラビア語圏にいたから堪能だよ」

 私といるときはひと言も話さなかったから知らなかった。

 画面は変わり、先ほどのレセプションの光景で、今度は国王と総理の通訳を務めている。

 驚いた……。

「レセプションが終わった後も月城さんは忙しいのね」

「ああ。でも仕事ではない。総理は彼の祖父と旧知の仲のようで、以前から交流があったようだ。今回の来訪で石油関連など日・ア首連の経済強化が合意されて総理は大満足で、準備をした月城くんをねぎらっているんだよ」

「月城さんがそんなにすごい人だったなんて……」

 なんだか遠い存在の人に思えてくる。

「彼は超がつくエリートだよ」

「エリートなのはわかっていたわ」

 テレビは別のニュースに変わっていた。

 父はテレビに興味がなくなり、巻き寿司を食べることに専念している。今日は気疲れをしたはずだから、早く休みたいのだろう。


 父が二階のベッドルームへ行ってから一時間後、月城さんが戻ってきた。

「おかえりなさい。おなか空いていますか? 簡単な巻き寿司を作ったんですが」
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