愛しの彼に溺愛~石油王の場合~
俺はその言葉を聞いた後、考えるよりも先に体が動いていた。

ベットに座る弥生を押し倒し、


「…んぅ」


衝動のままに口付けを交わした。

普段とは違うお酒の香りと、赤みがかった頬。

いつもは戸惑っているような初心な瞳も、
今日はお酒のせいかいつも以上にとろんとしていて戸惑いすら感じない。


「…アキさん?」


あぁ、瞳が変わった。

驚愕してから、恥ずかしそうにこちらを見ている。
男の心を打ちぬくようないじらしさ。


「酔いは冷めたか?」

「え、あ!…はい」


これだから抜け出せない。
…彼女から抜け出そうとも思はないがな。


「今の状況は理解しているか?」
「…えーっと、はい…。ごめんなさい、迷惑をおかけしてしまって……」
「それはいいんだ。それよりもさっき言ったことは本音か?」
「さっき…?」


もし先程と同じ言葉を彼女から言われでもすれば、今度こそ酷い仕打ちをしてしまうかもしれない。


「んむ!?」


弥生が話し出す瞬間に、俺は遮るように口を塞ぎ、弥生から言葉を奪うように口内を荒らす。

あぁ、なんだ。

酔いが冷めた弥生に遠慮する必要がどこにある?

俺が不安にさせた分、俺が愛せばいい。
俺の愛は重い。

だからこそ体に覚えさせればいい。


「俺がどれだけお前を愛しているか、その身をもって理解しろ」


これは俺の愛を理解してなかったお前に対するお仕置きだ。
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