ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。
「あとやっぱ、名前、言わなくていいよ」
「えっ、あ、な、なんで?」
「むぎの口から他の男の名前出んの無理。
俺だけでいいだろ」
「なっ!?」
「つか、今日学校出てから今まで俺の名前呼んでくれてない。今、呼んで」
「はあ!?」
なになになに。
待って待ってまって。
ほんと、どうしたの!?
「よんで」
「ううっ……」
ぶつかる切なく揺れた瞳から逃げたくても、
「逃げんなよ」
「っ……」
耳元で囁かれた声の甘ったるさに、ピクッと肩が跳ねてしまう。
顔があつい。
心臓バクバク言ってる。
ふれられてないのに、涙が込み上げてきて、グッと唇を噛みしめる。
我慢我慢我慢……!