ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


「あとやっぱ、名前、言わなくていいよ」

「えっ、あ、な、なんで?」


「むぎの口から他の男の名前出んの無理。
俺だけでいいだろ」


「なっ!?」

「つか、今日学校出てから今まで俺の名前呼んでくれてない。今、呼んで」


「はあ!?」


なになになに。

待って待ってまって。

ほんと、どうしたの!?


「よんで」

「ううっ……」


ぶつかる切なく揺れた瞳から逃げたくても、


「逃げんなよ」

「っ……」


耳元で囁かれた声の甘ったるさに、ピクッと肩が跳ねてしまう。


顔があつい。

心臓バクバク言ってる。


ふれられてないのに、涙が込み上げてきて、グッと唇を噛みしめる。


我慢我慢我慢……!
< 11 / 332 >

この作品をシェア

pagetop