ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。



『渚がバスケやってたこと、どうして朝日くんが知ってるの?』


『あー、うちのバスケ部の先輩に、同中で同じチームだった先輩がいるから。たぶんその人に聞いたんだと思う』


『そういえば、朝日くんの話で思い出したけど、昔渚、プロの人に誘われてたよね?どうして受けなかったの?』


『それ、言わせんの?』


『え?』


スっと目を細めたと思ったら、はー……っと、ため息をついて私と渚のおでこがぶつかったと思ったら。

『バスケあきらめてでも、ずっとむぎと付き合いたくて、むぎを自分のものにしたかったから。もう、ずっと好きで好きでたまんなかったんだよ』


なんて。


「はー……ほんっと、愛されてるわねえ、うらやましい」


「な、那咲にだって、ちゃんと付き合ってる人いるじゃん」


「そ、そうだけど!
碧の場合、直球すぎて心臓もたないっていうか、」


「ふふっ、那咲、かわいい、」


顔を真っ赤にして、アワアワする那咲。

ふふっ、那咲と恋バナ。

楽しいなぁ……。


那咲も土方くんも、小学校のときからの大好きな友達だから、ふたりが付き合って、幸せそうにしてるの見ると、本当にうれしくなる。


「それで?
最近その練習が忙しいからって、むぎは欲求不満なんだ?」


「二度も欲求不満とか言わないで!」


「だって、現にそうなんでしょ?」


「それは……」
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