ふたりきりなら、全部、ぜんぶ。


それからの1ヶ月。


大丈夫、ちゃんと説明してくれたら分かってくれる。

そう、那咲が何度もアドバイスしてくれたけれど。


「む……」


「ごめん、今日ちょっと忙しいから」


「話がしたい」


「勉強大変だから今度にして」


「むぎ……」


「那咲……」


「いいかげんにしな?」


「ううっ……だって、」


日が経つにつれて、私が家を出るよりも、もっと早く外で待ってるようになって。

帰るときも、花柳の生徒玄関前でずっと待ってる。

私がいくら避けようが、無視しようが、何度も何度も根気強く話しかけてくる渚。


「久遠、最近まじでやばいらしいよ」


「や、やばいって……?」


「普段の女子への態度が悪化してるって。
学校でもずっと不機嫌そうにしてて、同じクラスの男子たちも近寄りもしないらしいよ」


そこまで……。


きっと、私が避けてるせいだ。

私が渚の話を聞こうとしないで、頑なに無視するから、渚は……。


そして、渚を避け始めて1ヶ月後。



「なんで、いる、の……っ?」



深夜、0時0分01秒。


星見むぎ、16歳、高校2年生。


幼なじみ兼彼氏の渚に。



「夜這い?しにきた」


今すぐ襲われそうです。
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