俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません。〜交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されてます〜
「ねぇ、隆ちゃんのお姉さんにちゃんと今日行きますって連絡してくれた?」

 ジュエリーショップを後にし近くのケーキ屋でケーキを何個かお土産用に購入した箱を抱えながら助手席に乗る美桜が不安そうに俺の顔を覗き込んでくる。

「大丈夫だよ。ちゃんと連絡入れたし、了解って返事も返ってきたから」

「な、ならいいんだけど……」

 緊張しているのか、それともそれが腐女子の美桜の平常運転なのかBLについての語りが恐ろしい程に止まらない。

「でね、受けだと思ってたキャラがまさかの攻めって、そりゃもうそのギャップにドキュンとやられちゃうわけでね! しかも普段ツンツンしてるのにまさかの受けで超淫らになっちゃうのとかもう、最高に最強すぎて溜息しかでないの!」

「お、おおう……」

「歳の差も凄くいいんだよねぇ〜、大人として、ダメだってわかっていても好きで好きで求めちゃうんだよね! それでもう思いあってからの欲望の爆発が止まらない! 大人ならではの色気が凄くてさぁ、本当高森亜也先生の書く作品でハズレはない!!!」

「お、おおう……」

 みっちりとBLについて美桜の話を聞いていたら姫咲のアパートに着いた。

(あぁ、あの部屋に足を踏み入れるのが怖すぎるな……)

 ちょこんと後ろをついてくる美桜。今は本当に緊張しているのか少し顔も強張っていて、口数がぐんっと減った。むしろ口を開いてない。ムッと口を真一文字に結んでいる。

「美桜? 大丈夫か?」

「だだだだだ大丈夫でやんす」

 ブハッと笑いが吹き出してしまった。耳まで真っ赤に染めてあわあわしている美桜が可愛すぎる。

「やんすって何だよ! 緊張しすぎだから」

「ごごごめんっ! 緊張しちゃって。だって隆ちゃんのお姉さんに初めて会うわけであって、しかもそれが推しの先生って、こんな神展開あります? ってなるよ!? 緊張しない訳がないんだよ〜〜〜」
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