すべてが始まる夜に
*
今何時だろ……。
今日は土曜日だからもう少し寝れるよね。

今朝はどういうわけかいつもよりも部屋に差し込んでくる陽射しが眩しい。
昨日カーテンをちゃんと閉めて寝なかったのかなと夢と現実の狭間でそんなことを考えながら、私は掛け布団を自分に引き寄せ、その光を遮るように身体を反対側に向けた。

ゴツッ──。

何か冷たくて硬いものがおでこに当たり、痛さで顔を顰める。だけどせっかくの土曜日なのに、こんな痛さで目を開けて起きるなんてことしたくない。
私は目を頑なに閉じたままおでこを手で摩り、冷たくて硬いものを自分から遠ざけるため、反対の手で押し避けようとした。

重い……。

なぜか手で押し避けても、その冷たくて硬いものは全く動いてくれない。

そもそもベッドの近くに何か置いてたっけ？
これはいったい何だろう？
なんか敷布団の感触も違うみたいだし……。

あっ！

目がパチンと開き、一気に夢の中から現実へと連れてこられ、ハッとして飛び起きる。

ゴツン──。

飛び起きた拍子におでこを、その何かに思いっきりぶつけてしまった。

「いっ、痛ったーい」

冷たくて硬いものの正体──。
それは部長の部屋にあるテーブルだった。

わっ、私、寝ちゃったんだ！

ぶつけた場所はじんじんと痛いけれど、それどころではなく両手でおでこを押さえてなんとか反対側を振り返る。

そしてそのまま固まってしまった。
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