暴君王子の恋の瞳に、私は映らない


「俺さ……」


「…うん」






「今、マジで……
 精神崩壊中でさ……」





 …………えっ?




「自分でもコントロール不可の
 どす黒い感情に……
 襲われてるわけ……」





私の目の前にしゃがみ込む、この人って

本当に、高校一の暴君王子様?




たまに、学校で見かける鞭光君は


ドヤ顔で

友達をからかっていて

悪っぽい目を光らせる、俺様系で



絶対に、人に弱みを見せない感じなのに……





「何か……あったの?」


「あったっていうか……」


「……」




「俺が、自分で仕掛けたエグい罠に
 はまっちまったって言うか……」



< 49 / 537 >

この作品をシェア

pagetop