暴君王子の恋の瞳に、私は映らない
「俺さ……」
「…うん」
「今、マジで……
精神崩壊中でさ……」
…………えっ?
「自分でもコントロール不可の
どす黒い感情に……
襲われてるわけ……」
私の目の前にしゃがみ込む、この人って
本当に、高校一の暴君王子様?
たまに、学校で見かける鞭光君は
ドヤ顔で
友達をからかっていて
悪っぽい目を光らせる、俺様系で
絶対に、人に弱みを見せない感じなのに……
「何か……あったの?」
「あったっていうか……」
「……」
「俺が、自分で仕掛けたエグい罠に
はまっちまったって言うか……」