暴君王子の恋の瞳に、私は映らない



「今一人でいるとか、
 マジで……ヤバいから……」



「……」



「わりぃけど……
 一緒に……いてくれない?」






いつも堂々としている彼が見せた

弱り切った笑顔。



更に私の心臓を、ギューギューに痛めつける。





「私で良いの?」


今、鞭光君のそばにいる相手。





「精神ヤバい者同士の方が……
 気楽なんだよ……」





そう言って、立ち上がった鞭光君は

自分のカバンの紐を、肩に通した。



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