【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
 笑うと思っていなかったから、突然、笑みを浮かべられて、動揺してしまった。
 ここまで動揺したのは、久しぶりに人と会話をしたのと、懐かないはずの野生動物が、なでさせてくれた時のような気持ちになったから。
 
 ――だから、これは絶対、恋じゃない!

 慌てて顔を背けた。
 私に恋なんてしている暇はない。
 友達を作った時でさえ、継母は嫌がらせをしたのだ。
 私に好きな人ができたら、なにをするかわかったものではない。
 
 ――もう見ていけないし、雑念を捨て、無心になろう!

 そう思っているのに、私の目は彼を追ってしまう。
 おにぎりを食べ終えた彼は、暖かな春の日差しのせいか、眠ってしまった。
 前髪が風に揺れ、無防備な寝顔を晒した彼は、鋭さが消え、うっかり撫でてしまいたくなりそうになる。
 そして、俳優なのかと思うほど、一般人と違うオーラを持ち、整った顔は眺めていて飽きない。
 私は視線をよそへやるので、精一杯だった。

◇◇◇◇◇

「今日の社長。可愛かったわね!」
「シャツの襟に、ご飯粒つけていたわよ」

 交代した社長は、まだ全社員の前に姿を現していない。
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