【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
 黒ヒョウみたいに強そうに見えるけど、お疲れなのか、眠そうにしている。
 
 ――疲れて見えるけど、大丈夫かしら?

 ここ最近、見かけるようになった黒ヒョウの人。
 初めて出会ったのは、桜が咲く前だろうか。 
 彼の名前は知らないけれど、出会ったら会釈程度はする仲だ。
 今日も視線を一瞬合わせて、頭を下げただけ。
 大抵、彼はこの後、ベンチに横になって、眠ってしまうのだ。
 絶対に人に懐かない毛並みのいい黒ヒョウが、隣でスヤスヤ眠っている姿は、可愛らしく見えて、少しだけ和む。
 でも、なぜか、今日は眠らない。

 ――もしかして、お腹が空いて眠れないとか?

 なんだが、私だけ食事をしているのも悪い気がしたので、おにぎりをひとつ手にした。

「あの……。よかったら、これどうぞ」
「いいのか? 君の昼食は?」
「もうひとつありますから。具はウィンナーと卵焼きで、のりは味付け海苔です」
  
 アレルギーや好みがあるかもしれないから、念のため、中の具を教える。
 おにぎりに視線を落とした彼は、私より年上のはずが、ちょっと幼く見えた。

「うまい」
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