【コミカライズ】若き社長は婚約者の姉を溺愛する《宮ノ入シリーズ①》【番外編更新】
◇◇◇◇◇
お昼休み五分前、私は一瞬だけ手を止めた。
いつもなら、カウントダウンを始めるところ、少しだけ悩んでいた。
――今日は別の場所で食事をするべきかも。
私は朝の気まずさを引きずっていた。
人と人の関わりを避けてきた私は、こんな時どうしていいか、よくわからない。
仕事のように、決まった受け答えがあるわけでもなく、社長がどんな態度をとって来るかも予測不可能。
私にとって謎に包まれた存在なのだ。
「沖重先輩。八木沢さんが書類を持ってきましたよ」
「えっ!」
隣の木村さんが、私に差し出した封書には、付せんがひとつ貼ってあった。
付せんには、私の昼食の後、その封書をポストへ投函するよう書いてある。
それも場所指定までされており、公園から出たところにある郵便局のポストへ。
『すっぽかしはナシですよ?』
そんな八木沢さんの声が聞こえてくるようだ。
私の思考と行動が完全に読まれていて、背筋が寒くなった。
「あの人、いったい何者?」
私の行動はすべてお見通し、先手必勝。逃げられないようにしてしまう。
これが宮ノ入グループ社長秘書の力。
結局、私は五分後、いつもの公園のベンチへ向かった。
――封書も出さないといけないし。
そんな言い訳を私に作らせた封書は、私の中にあった朝の気まずさを消していた。
ベンチに座る大きな影。遠目からでもわかる社長は、私に視線を向けていた。
私だけでなく、社長も私がわかるのだ。
こんなはずではなかったのに、いつの間にかお互いの姿がわかるくらい近い存在になってしまった。
「今日は会わないでおこうと思ってました」
社長は怒るだろうかと思いながら、私は自分の気持ちを正直に伝えた。
私の思考も行動も読まれている。
隠す方が不自然な気がしたからだった。
「そう思ったから、直真の名前を使って渡した」
「あれは八木沢さんじゃなかったんですか?」
お昼休み五分前、私は一瞬だけ手を止めた。
いつもなら、カウントダウンを始めるところ、少しだけ悩んでいた。
――今日は別の場所で食事をするべきかも。
私は朝の気まずさを引きずっていた。
人と人の関わりを避けてきた私は、こんな時どうしていいか、よくわからない。
仕事のように、決まった受け答えがあるわけでもなく、社長がどんな態度をとって来るかも予測不可能。
私にとって謎に包まれた存在なのだ。
「沖重先輩。八木沢さんが書類を持ってきましたよ」
「えっ!」
隣の木村さんが、私に差し出した封書には、付せんがひとつ貼ってあった。
付せんには、私の昼食の後、その封書をポストへ投函するよう書いてある。
それも場所指定までされており、公園から出たところにある郵便局のポストへ。
『すっぽかしはナシですよ?』
そんな八木沢さんの声が聞こえてくるようだ。
私の思考と行動が完全に読まれていて、背筋が寒くなった。
「あの人、いったい何者?」
私の行動はすべてお見通し、先手必勝。逃げられないようにしてしまう。
これが宮ノ入グループ社長秘書の力。
結局、私は五分後、いつもの公園のベンチへ向かった。
――封書も出さないといけないし。
そんな言い訳を私に作らせた封書は、私の中にあった朝の気まずさを消していた。
ベンチに座る大きな影。遠目からでもわかる社長は、私に視線を向けていた。
私だけでなく、社長も私がわかるのだ。
こんなはずではなかったのに、いつの間にかお互いの姿がわかるくらい近い存在になってしまった。
「今日は会わないでおこうと思ってました」
社長は怒るだろうかと思いながら、私は自分の気持ちを正直に伝えた。
私の思考も行動も読まれている。
隠す方が不自然な気がしたからだった。
「そう思ったから、直真の名前を使って渡した」
「あれは八木沢さんじゃなかったんですか?」