attraction

「......部長でも副部長でもない。こんな変なポジションにいるせいで、常に二人のストレスのはけ口じゃん。好きで卓球やってるはずなのに、試合で勝ったら責められる。なんで私が忖度しなきゃいけないの?卓球が好きだから、強くなりたいから、みんなが帰ったあと一人で練習してる。なのに、どうして勝たせてくれないの、?」


感情で喋ったのは、久しぶりな気がする。

いつも我慢してた。部活には、私を褒めてくれる人なんていないから。

こんなことだけじゃない。思い出せないほどたくさん我慢してきた。


「だから怪我してるんだね、かっこつけてるの?」

「うちらのこと見下してたんでしょ。どうせ弱いって」


何も言い返せなかった。

見下してた、のかな。

最初から手加減なんてしないで、顔色も機嫌も気にしないで思いっきりプレーして、何言われても自分らしくいればよかったのかな。

私が間違ってた?


突然、

「痛っ.........ッ」

部長に、右腕を力いっぱいに掴まれた。


痛すぎて、涙が出るほど痛くて、声も出せない。

怪我するほど練習してたのは、何だったんだろう。

結局試合では思いっきりプレーできないのに。

今の自分、かっこ悪い気がしてきた。
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