怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
そんな自分の恋心を決定付けるような出来事が起きたのは、優月がうちの事務所で働き始めて一年が経ったある日のこと。
俺が相談を受ける予定だった依頼者の女性が約束の時間よりもだいぶ早く事務所を訪れるということがあった。
相談内容は離婚トラブル。二十代の女性で旦那からたびたび手をあげられているらしく、離婚を考えているがどうすればいいのかわからないから助けてほしいと事前に電話で相談を受けていた。
その日は対面で詳しい事情を聞くことになっていたが、募る不安が抑えきれなかったのか女性は予定していた時間よりもだいぶ早く事務所を訪れた。
けれど、あいにく俺は出先にいて不在。女性が来た連絡を事務員である優月からもらうと、なるべく急いで事務所に戻った。
来客用の部屋に入ると、そこには泣いている女性の背中をさすりながら『大丈夫ですよ』と落ち着かせている優月の姿があった。
あとから別の事務員に聞いた話によると、優月はそうやって俺が来るまでずっと女性に寄り添い続けていたらしい。
そのあとは俺が女性のことを引き継ぎ、旦那との離婚に向けての相談に入った。