怜悧な弁護士は契約妻を一途な愛で奪い取る~甘濡一夜から始まる年の差婚~
「そうだ、優月。今日一緒に帰らない?」
出来上がった朝食をダイニングテーブルへ運んでいると、着替えを済ませた悠正さんがネクタイを緩く結びながらリビングに戻ってきた。
「俺、今日は定時で上がるから」
「珍しいですね。いつもは営業時間が過ぎても書面作りで事務所に残っているのに」
「たまにはかわいい奥さんとディナーでもしたいなと思ってさ」
ダイニングチェアに腰を下ろした悠正さんがにこりと微笑む。
奥さん……。
そう言われるたびにくすぐったい気持ちになってしまう。
憧れの弁護士である悠正さんの奥さんが私だなんて、やっぱりいまだに信じられないときがある。
「優月は夕食になにを食べたい? 行きたい店があるなら連れていくけど」
「そうですね……」
「なんでもどうぞ」
私は考えながら悠正さんの向かいのイスに腰を下ろした。
「悠正さんはなにを食べたいですか?」
「俺は優月に聞いてる。俺のことはいいから、自分が食べたいものを答えなよ」
「そう言われても……」
とっさに出てこなくて考え込んでしまう。