きみと、どこまでも堕ちていきたい

「瑠璃、誕生日おめでとう」


「ありがとう」

終業後、別々に会社を出て合流した私たちは、白ワインの入ったグラスで乾杯する。

二階堂は約束通り、私の誕生日の夜に初めて食事に行ったレストランを予約してくれた。

「今日は予定を空けてくれてありがとう」

「当たり前だろ。瑠璃の誕生日なんだから」

「嬉しい」


ああ。
誰かに誕生日を祝ってもらうのなんて久しぶりだ。

目の前にいるのは憎むべき二階堂だけれど、「おめでとう」と言ってもらうのは嬉しいものだ。

「瑠璃は今日で23歳か。まだまだ若いな」

「おじさんみたいなこと言うのね」


「瑠璃からみたら俺なんておじさんだろ。9歳年上なんだから」

「そんなことないよ。歳を重ねたらこれからさらに色気が出てくるよ」

「なら嬉しいけどな」
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