8月25日(後編)
返事に困っているとお母さんが顔を覗き込んできた。

「その…予定というか…一緒に過ごしたいと思ってる人がいる」


素直にそう伝えた。

「その人も同じ誕生日でね?去年祝ってあげれなかったから今年は祝ってあげたいな、って思ってて」

「もしかしてその人って…水樹くんとか言う人?」

「…うん」


やっぱり誕生日は水樹くんと過ごしたいし、祝ってあげたい。

そう思った。


「そう。それじゃ、仕方ないわね」

「お母さん…」

「ふふ、お父さんショックうけるかもね?お母さんだけ行ってくるから大丈夫よ」

「ありがとう」


そう言うとお母さんは嬉しそうにニコニコと笑っていた。


いつか、ちゃんと水樹くんのことを紹介できたらいいな。

もちろんお父さんにも。
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